Lesson4-1 単純温泉

Lesson4では、温泉の泉質と、その効能について解説していきます。

温泉の中でも、療養や治療を目的とし、一定の成分が規定以上含まれた温泉のことを
「療養泉」と言います。

療養泉全てに当てはまる一般的適応症は、下記の通りとなります。

  • 筋肉、関節の慢性的な痛み(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、
    神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)
  • 運動麻痺における筋肉のこわばり
  • 冷え性、末梢循環障害
  • 胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)
  • 軽症高血圧
  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 軽い高コレステロール血症
  • 軽い喘息又は肺気腫
  • 痔の痛み
  • 自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害やうつ状態など)
  • 病後回復期
  • 疲労回復、健康増進

Lesson1で、療養泉とは、単純温泉、塩類泉、特殊成分を含む療養泉の
三つに大きく分けられることを学習しました。

このレッスンではその中から、「単純温泉」の成分や効能について
学んでいきましょう。

単純温泉の特徴と成分

単純温泉とは、温泉水1kgあたり、溶存物質が1,000mgに満たない、
泉温が25℃以上の温泉のことです。

無色透明で、無臭に近い温泉が多いです。

成分が薄い理由は、地下水が岩石などの成分を溶かさずに、
早い段階で湧出したためです。

そのため、「単純温泉」と聞くと、
効能が低いような印象を受けるかもしれません。

しかし、成分の量が少ない分、刺激も弱いため、
長期の療養や精神疾患の治療にも適している
とされ、
万人向けの温泉なのです。

また特定成分が基準値に満たしていないだけで、
単純温泉の中には、さまざまな溶存物質が含まれていることもあります。

温泉成分の量は、必ずしも多ければ良いと言うわけではなく、
単純温泉の中には、高い効能を期待できる温泉も数多くあります。

実は単純温泉は、国内全体の温泉の40%以上を占め、
日本でもっとも多い泉質
でもあります。

日本でこれまで名湯とされてきた温泉にも、
単純温泉が多いのです。

アルカリ性単純温泉

Lesson3-2で、pH8.5以上の温泉はアルカリ性泉であることを学びました。

アルカリ性の単純温泉のことを「アルカリ性単純温泉」と言います。

アルカリ性単純温泉は、ぬめりやしっとりとした感触がありますが、
角質を柔らかくする作用があるため、
肌に良いとされています。

そのためアルカリ性単純温泉は、「美人の湯」と言われることが
多いのです。

効能

単純温泉の適応症は、

  • 自律神経不安定症
  • 不眠症
  • うつ状態

とされています。

しかし、一口に単純温泉と言っても、温泉成分が規定量に満たないために
泉質名がついていないだけであり、温泉ごとにその成分はさまざまですから、
それぞれ効能も異なります。

一般的に言えば、神経痛、関節痛、腰痛などにも効能があると
されています。

また先ほども述べたように、
他の泉質に比べて含有成分が薄いため刺激が弱く、
繰り返し入浴することができます。

そのため、病後の回復期や、リハビリなどにも
適している温泉が多いのです。

単純温泉の代表的な温泉

下呂温泉 噴泉池
  • 下呂温泉(岐阜県)     アルカリ性単純温泉
  • 道後温泉(愛媛県)     アルカリ性単純温泉
  • 箱根塔之沢温泉(神奈川県) アルカリ性単純温泉
  • 湯布院温泉(大分県)    アルカリ性単純温泉
  • 修善寺温泉(静岡県)    アルカリ性単純温泉

Lesson2-2で学習した日本三古湯の一つ「道後温泉」は
アルカリ性単純温泉です。

下呂温泉

アルカリ性単純温泉で、肌がつるつるになると言われています。

室町時代より、「日本三名泉」の一つとされ、
安定した湧出量で新鮮な源泉を堪能できます。

修善寺温泉

歴史ある名湯とされる修善寺温泉。

鎌倉時代には、源範頼が頼朝に殺され、
頼家(頼朝の子)が北条氏に殺された、
悲劇の舞台にもなったことで知られています。

泉質はアルカリ性単純温泉で、中には循環しているところもありますが、
源泉かけ流しの施設も多いです。


単純温泉について解説しました。

国内でもっとも多い温泉が単純温泉で、名湯が多いこともわかりましたね。

単純温泉特有の効能として、うつ病や不眠症、ストレスといった、
精神的な疾患も適応症として挙げられているため、
現代では特に注目されている
ようです。

刺激が少なく、肌もきれいになり、ストレスも解消される、
まさに万人のための温泉なのかもしれません。

次のレッスンでは、塩化物泉〈塩類泉〉について解説します。