Lesson3-1の「温度による温泉の分類」で、
泉温が高いときは加水、泉温が低い時は加温することが多いことを
解説しました。
ここでは、加水や加温といった、温泉の成分に影響を与えるものについて
学びましょう。

加水、加温
泉温が高い場合や、湯量が少ない場合は、温泉に水を加えることがあります。
ただし、加水することで温泉の成分は変わってしまいます。
一方で、泉温が低い場合は、加温することが多いです。
加水よりもイメージがしにくいかもしれませんが、
温泉を加温することによっても、温泉成分が変化してしまいます。
例えば、ガスの揮発成分が変化してしまったり、
鉄分・カルシウムを沈殿させてしまう可能性もあります。
循環濾(ろ)過、消毒剤
温泉の湯は湧出した瞬間から、成分が変化してしまいます。
例えばガス(炭酸ガスや硫化水素ガスなど)などは、
湧出後すぐ、空気中に発散されてしまいます。
さらに温泉水は空気に触れることで、次第に酸化も進みます。
つまり、湧出後に時間が経てば経つほど、新鮮ではなくなってしまうのです。
このように温泉の湯が劣化してしまうことを、温泉水のエイジングと
言います。
入浴者が多い大規模な温泉施設(ホテルや公共温泉施設など)や、
湧出量、配湯量が十分ではない温泉施設では、
循環ろ過方式を採用しているところが多いです。
循環ろ過方式とは、浴槽のお湯を循環ろ過して、再利用することです。
衛生的観点から、循環ろ過装置を使用する際には、
たいていの場合、消毒が必要になり塩素消毒されています。
塩素は、人の体にとって有害です。
肌の細胞を傷つける原因にもなってしまいます。
肌をきれいにする効果のある温泉が、
塩素消毒によって肌を荒れさせてしまうこともあることは、
頭に入れておいた方が良いでしょう。
つまり、循環ろ過方式を使用していれる施設では、
お湯のエイジング現象が進みますし、
それに加えて塩素消毒をしているとなると、
さらに酸化してエイジングが進んでしまうのです。
ただし、循環ろ過方式は限られた温泉を有効活用できますし、
塩素消毒もレジオネラ菌などの事故を防ぎ、安全に利用することができるという点では、
メリットもあります。
他方、源泉の湧出量が十分にある温泉施設では、
湧出したての湯が絶えず浴槽に流れこんでいるわけですから(源泉かけ流し)、
循環ろ過方式を使用しているところよりは温泉の湯は新鮮と言えます。
入浴剤
温泉に入浴剤(牛乳、酒、塩なども含む)を添加している温泉施設もあります。
それは、温泉の利用者にさまざまな温泉を楽しんでもらえるようにしたり、
温泉の効能を高めたりするためです。
しかし、入浴剤を添加することで、温泉成分が変化してしまう可能性もあります。
数年前、乳白色のお湯を売りにしていた温泉施設で、
実は入浴剤を添加していたと言う事件が発生したこともあります。

現在は温泉事故や偽装を防ぐために、
加水、加温、源泉かけ流し、循環ろ過、消毒剤や入浴剤の添加は、
温泉成分などとともに掲示すべきものとされています。
Lesson3では温泉の分類や性質について学んできました。
温泉施設を訪れた際には、
温泉の温度、成分、性質などを、温泉分析書などの掲示でよく確認してみましょう。