Lesson4-2、4-3、4-4では、療養泉のうち、塩類泉について解説していきます。
塩類泉は、「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」の三つに分けられますが、
このレッスンではまず、「塩化物泉」の成分や効能を学びましょう。

塩化物泉(食塩泉)の特徴と成分
塩化物泉とは、塩化物イオンを主成分とする温泉のことです。
溶存物質が温泉水1kgあたり1,000mg以上あり、
塩化物泉の多くが、陽イオンの主成分をナトリウムとする、
ナトリウム塩化物泉になります。
ナトリウムイオンを5.5g/kg以上、塩化物イオンを8.5g/kg以上
含むものは、「ナトリウムー塩化物強塩泉」と記されます。
陽イオンの主成分により「カルシウム塩化物泉」「マグネシウム塩化物泉」
もありますが、これらの温泉は国内にそんなに多くはありません。
塩化物泉に入ると体がよく温まり、
温泉から上がっても湯冷めしにくく保温効果があることから、
「熱の湯」とも呼ばれることがあります。
日本では、単純温泉の次に多い、日本人にとってはなじみのある温泉ですが、
総湧出量では全体の半分を占めるほど多いです。
塩化物泉は、海水が浸透するために塩分濃度が高くなります。
そのため、塩化物泉の代表的な温泉は、海岸に多いのです。
塩分が混じっているため、味は塩辛く、苦味を感じることもあります。
湯の感触は、ややぬめり感があり、
塩分濃度が高いほど入浴後にベとつき感があります。
発汗作用に優れているので、
入浴前後には水分補給を心がけるようにしましょう。
肌についた塩分は、入浴後に体温が発散するのを防いでくれるため、
上がり湯をしないのがおすすめです。
効能
塩化物泉の適応症は、
- 切傷
- 末梢循環障害
- 冷え性
- うつ状態
- 皮膚乾燥症
となっています。
火傷、慢性皮膚病、神経痛、関節痛にも効果があるとされ、
筋肉の凝りをほぐし、血流を良くします。
食塩泉に入浴すると、傷や皮膚の乾燥が良くなったと感じたことがある人は
多いでしょう。
また先ほども説明したとおり、保温性が高いので、
冷え性にも良く、更年期障害や慢性婦人病にも効果があります。
さらに慢性気管支炎、咽喉炎にも効果があることから、
ヨーロッパでは、吸入療法にも使われているそうです。
刺激が少なく、リラックスできるため、うつ状態の改善にも
効果があるとされています。
湯あたりが少ないため、体力の弱い人、
例えば高齢者や虚弱児童、病気の回復期の湯治にもおすすめです。
飲用では、胃腸病や便秘に効果があります。
塩化物泉の代表的な温泉

- 熱海温泉(静岡県)
- 白浜温泉(和歌山県)
- 城崎温泉(兵庫県)
- 有馬温泉(兵庫県)
- 指宿温泉(鹿児島県)
Lesson2-2で学んだ日本三古湯の「白浜温泉」「有馬温泉」は、
塩化物泉です。
特に有馬温泉は、強食塩泉の温泉。
高濃度の食塩を含み、塩分濃度は海水以上になります。
指宿(いぶすき)温泉
指宿温泉では、食塩泉の砂蒸し風呂が体験できます。
温かい砂の中に入ると、体がじんわりと温まり、汗が滲んできます。
天然の砂蒸し風呂が体験できるのは、全国でも指宿温泉の他に別府しかありません。
血液循環が良くなったり、老廃物排出にも効果が期待できるとか。
指宿温泉を訪れたら、ぜひ体験してみましょう。

塩化物泉(食塩泉)について学びました。
日本は海に囲まれた島国なので、食塩泉はなじみが深いのではないでしょうか。
次のレッスンでは、「炭酸水素塩泉〈塩類泉〉」について学習を進めましょう。