ここからいよいよ、温泉についての学習が始まります。
あなたは温泉とは何か?ということについて、
考えたことはありますか。
温泉と言えば、「地下から湧き出ている」「白く濁っている」「独特な香
りがする」・・・。
といったイメージがあるかもしれません。
しかし、そもそも温泉がどういうものかということをはっきりと知らない
人がほとんどでしょう。
この章ではまず、「温泉とは何か」についてその定義から学び、
温泉を正しく理解するところから始めましょう。

温泉の定義
日本には、昭和23年(1948年)に温泉法が公布されており、
この温泉法の中で、温泉について下記のように定義しています。
・「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス
(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)であり、下のa、b、cのいず
れかを満たすものであること。
a:温泉源から採取されたときの温度が25℃以上であること。
b:溶存物質の総量が、1kg中1000mg以上であること。
c:指定された物質のうち1成分でも一定量含むこと。
※下の表を参照のこと
これらの要件に該当しないものは、温泉とは認められていません。
温度が25℃以上であれば、規定の物質を一つも含まなくても「温泉」であ
り、逆に規定された物質を一定量含有すれば、25℃未満の冷水であっても
「温泉」とみなされます。

注)「温泉法」に定義されているのは表左側の「温泉」のみであり、
「療養泉」の定義は環境省自然環境局の「鉱泉分析法指針」で定められて
います。ここでは、温泉と下で説明する療養泉の違いをわかりやすく説明するために、
一つの表にまとめています。
なぜ温泉の温度は25℃以上なのか?
温泉と認められる要件のうちの一つが25℃以上とありますが、
「なぜ25度なのだろう?」と不思議に思った人もいるでしょう。
日本の温泉法のような温泉の法律や温泉に関する決まりは、
各国に存在します。
例えば、台湾では温泉と認められるのは30℃以上、
ヨーロッパでは20℃以上、アメリカでは21.1℃以上(華氏70℃以上)
と定められています。
各国で定められた温度を見て推測できる通り、
温泉の温度は、その国の平均気温に基づいて定められています。
その土地の平均気温よりも高い温度で湧く水は、
地熱の影響などを受けた特別な特性を持つものだとみなされるためです。
しかし、日本の全国の平均気温は15℃強なのですが、25℃と高めに設定
されているのはなぜでしょうか。
それは、戦前に植民地としていた台湾や南西諸島の年平均気温(約24.9℃)を
考慮しているためだと言われています。
療養泉

「療養泉」とは、主に体の療養や治療を目的として定められた温泉のこと
で、一般的に「温泉」と認知されているのは、実はこの療養泉に当たります。
療養泉に該当するためには、特殊成分を規定量以上含む必要があります。
詳しくは、上の表の右側部分を参照してください。
温泉宿などの案内で「泉質名」が書かれている場合は、療養泉に当たり
ます。
温泉法で「温泉」と定義されているだけでは泉質名は表記できず、
あくまで「療養泉」と認められた温泉のみが泉質名をつけられます。
療養泉の定義
環境省自然環境局の鉱泉分析法指針では、療養泉を次のように分類してい
ます。
- 塩類泉
- 単純温泉
- 特殊成分を含む療養泉
今回は、温泉の定義について学習しました。
ひとえに温泉と言っても、法律によってしっかりと定義されており、
さらに普段「温泉」だと認識していたものは、「療養泉」であることがわ
かりましたね。
療養泉の泉質とその効能については、Lesson4以降で詳しく解説します。
Lesson2では、温泉の発見と日本史について学びましょう。