Lesson6-1 温泉法

Lesson6では、温泉の法律や規約について学びましょう。

このレッスンでは特に、温泉法を解説していきます。

温泉法の歴史

Lesson1でもすでに学習したように、
温泉には、適切に利用するための法律があります。

ここではその復習も含め、温泉法についてさらに詳しく説明します。

1948年(昭和23年)

日本の温泉法は、この年に初めて制定されました。

温泉法が制定された目的は次のように書かれています。

第一条 この法律は、温泉を保護しその利用の適正を図り、
公共の福祉の増進に寄与することをもって目的とする

※温泉法に定められた温泉の定義については、Lesson1を復習しましょう。

2005年(平成17年)

この頃、温泉地ではレジオネラ菌属の温泉事故や、
温泉を偽装する騒動などが世間では発生
していました。

温泉の偽装とは、水道水を使用したり、入浴剤を添加したりすることです。

「水道水の使用」に関しては、加水程度ではなく、そのほとんどが水道水、
または温泉とうたいながら全ての水が水道水の温泉があることが発覚しました。

これに対処する形で、2005年の温泉法施行規則の改正により、
温泉成分とともに下記の内容を掲示することが追加で義務づけられました。

  • 加水
  • 加温
  • 循環装置の使用の有無
  • 入浴剤添加や消毒処理

※この内容に関しては、Lesson3-4を復習すると良いでしょう。

2007年(平成19年)

温泉分析表には温泉の成分が記されていますが、
その成分がいつ特定されたものであるべきかは、特に規定がありませんでした。

そのため、何十年も前に測定されたものが、
再測定されることなくずっと掲示されていることも少なくはありませんでした。

しかし、温泉の泉質というのは少なからず経年変化するものです。

泉質の変化により、当時の測定時よりも成分が濃くなったり、
泉温が高くなる分には良いのですが、
逆に温泉成分の濃度が低くなったり、泉温が低くなったりしている場合もあります。

そこで、2007年の温泉法の改正で、
温泉成分を10年ごとに再分析することと、
その結果を30日以内に該当する温泉施設に掲示することが
義務づけられました。

この温泉法の改正により、
温泉基準を満たさなくなっていたことが発覚したため
温泉登録を取り消されたという事例も少なくありません。

温泉法に定義される温泉の問題点

温泉法の内容で特に考慮したいのは、
「温泉源から採取されたときの温度が25℃以上」
という点でしょう。

温度さえ25℃以上であれば、成分がほとんど含まれていなくても
温泉と認められてしまいます。

近年は、掘削技術の進歩により、
かつては温泉が沸いていなかった首都圏などでも新しい温泉が次々に誕生しました。

温泉法によれば地下から汲み上げた水が25℃以上であれば温泉と認められるわけですから、
例えば東京都内でしたら地下500メートルのところで水脈を得られれば、
温泉基準をクリアしてしまいます。

地温は地下100m掘るごとに、平均2〜3℃ずつ上昇するからです。

そのため、成分がほとんどなく、
水道水とさほど変わらないような水でも「温泉」となってしまうわけなのです。

専門家ではない一般の温泉利用者にとっては、「温泉」と聞くと、
「体に効能がある何らかの成分が含まれている」と認識してしまうと思いますが、
実態は有効成分がほとんど溶けていない、
ただの地下水とあまり変わらない温泉も存在します。

加えて、循環、加水、塩素消毒がされている、
新鮮とは決して言えない温泉も数多くある
ということも、
知っておいた方が良いでしょう。

この法律に関しては、再検討が必要ではないかという意見も数多くあるようです。


温泉法の変遷と、温泉法の問題点について解説しました。

温泉法と有効成分についてすでに学んだ受講者の皆さんでしたら、
温泉の掲示板を見ることで、その温泉の良し悪しがわかるはずです。

温泉に効能を求めるのであれば、

  • その温泉に成分がどのぐらい含まれているか
  • 源泉かけ流しか、循環か
  • 加水・加温の有無
  • 塩素剤添加の有無

などをよく確認してから利用することが大切です。