前回のレッスンで火山性温泉について学びましたが、
近くに火山がなくても各地に温泉は存在します。
例えば、有馬温泉や城崎温泉、道後温泉など、
古湯として有名な温泉の近くにも火山はありません。
このレッスンでは、火山とは関係となく、
平野部や、海岸近くにある温泉である「非火山性温泉」について
解説していきます。
海水起源の温泉

非火山性温泉の代表的な温泉として、
海岸近くに湧出している温泉が挙げられます。
海岸近くに湧き、海水と同じような塩分濃度の温泉は、
明らかに海水起源の温泉です。
日本は海に囲まれた国なので、
塩化物泉であるナトリウムー塩化物泉(食塩泉)は、
単純温泉の次に多い泉質であることはすでにLesson4-2で学びましたね。
もともとは海水ではありますが
地下から湧出し、温度や成分で温泉の条件を満たしていれば、温泉となります。
海水起源の温泉は、比較的最近の海水が起源の温泉もありますが、
太古の海水(化石海水)を起源とする温泉もあります。
※化石海水については、Lesson5-1を復習しましょう。
深層地下水起源の温泉
もう一つの非火山性温泉で代表的なものとして、
深層地下水起源の温泉があります。
このタイプの温泉は、雨水などの天水が地下に浸透し、
地熱や活断層のエネルギーにより温められて湧出したものです。
温泉に含有している成分は、温泉が湧いている地域の地質によりさまざまですが、
成分の濃度はそれほど高くなく、単純温泉のレベルです。
グリーンタフ型温泉
グリーンタフとは、日本語で緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)のことです。
緑色凝灰岩は、およそ1000〜2000万年前(新第三紀中新世)の
火山活動で生じた火山灰や火山岩が、
海底に沈殿して堆積物となり、
一定の条件のもとでできた緑色を帯びた岩石のことです。
現在、グリーンタフの大部分は陸となり、山地を形成しています。
このグリーンタフの中に熱せられた地下水が入り込み、
成分を溶出してできた温泉が、グリーンタフ型温泉となります。
グリーンタフ型温泉の特徴としては、
塩化物イオンの濃度が海水よりもかなり低いことが挙げられます。
これは、グリーンタフはもともと海底に沈んでいたため、
もちろん海水の影響は受けますが、起源となる水は地下水であるためです。
塩化物イオンの他には、カルシウムイオンや硫酸イオンを多く含んでおり、
カルシウム・ナトリウムー硫酸塩・塩化物泉の泉質になります。
有馬温泉
有馬温泉の金泉は、温泉の中でも特異性があり、
これまで数多くの調査や研究がされてきたようです。
もともと、温泉の成分がマグマに似ていることから、
マグマが起源であると考えられてきましたが、
最近の研究で海洋プレートの脱水が起源であることがわかってきました。
地表近くまで上昇してきたこれらの熱水が、
地表近くの地下水に希釈されて湧出しているのではないかという考えが支持を得ています。
非火山性温泉の熱源は?
火山性温泉は、マグマ溜まりによって熱せられた温泉でしたが、
非火山性温泉は何によって温められるのでしょうか。
非火山性温泉の熱源としてはさまざまなものがありますが、
以下のものが考えられます。
- 地殻変動による摩擦熱
- 地殻、マグマなどに含まれる物質の化学変化
- 地殻、マグマに含まれる放射性物質の発熱
前述したように、火山性温泉は、地震が起きると
温泉の温度が急上昇したり、湯量が増えたり、泉質の変化なども見られました。
火山とは関連しませんが、非火山性温泉もまた、
地球の活動と密接に関わっていることがわかりますね。
火山性温泉と非火山性温泉について、2ページに渡って解説してきました。
日本ではかつて、火山性温泉が主流でしたが
掘削技術の進歩により平野部の非火山性温泉が増えたため、
現在では非火山性温泉の割合が高くなってきています。
いずれにせよ、温泉の湧出は地球の活動による恩恵であると言えますね。
次のページでは温泉と地震について解説していきます。