日本は世界でも有数の火山国家です。
火山と温泉は、深い関係があることを知っていますか。
温泉には、「火山性温泉」と「非火山性温泉」がありますが、
このレッスンでは火山性温泉について解説していきます。

上のイラストを見てください。
日本列島は、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいるところに
位置しているのがわかると思います。
そのため、昔から地震が多い地域として知られており、
火山帯があるので多くの活火山が見られます。
日本には東日本火山帯と、西日本火山帯がありますが、
火山帯の近くには必ずといっていいほど、
温泉が湧出しています。
火山活動によって湧出する温泉を、火山性温泉と言います。
温泉地などでよく見られる地獄地形は、火山性温泉です。
下の写真にもあるように、
荒々しい山肌から噴気が昇っていたりと、
地獄地形ではいかにも温泉地らしい景観が見られます。

火山性温泉が湧くまで
火山性温泉はどのように湧出されるのでしょうか。
まず、大地に降りそそいだ雨が、地下深くに浸透していきます。
地下数キロ〜数10キロところには、マグマが上昇してできたマグマ溜まりがあり、
1000℃前後の高温層となっています。
地下に浸透してきた雨水がこのマグマ溜まりで熱せられますが、
そのとき水の温度は250℃ぐらいまでになると考えられています。
しかし、気圧が高いため沸騰してしまうことはありません。
そして熱せられた水は比重が軽いため、地表に押し出されて湧き出します。
これが、火山性温泉です。
中には、人工的に円筒状の穴をあけて(ボーリング)湧き出たものもあります。
火山の被害
火山活動のおかげもあり、日本人は温泉の恵みを身近に得ることができます。
先ほど説明した地獄地形などもまた観光資源となり、
地域社会の役にも立っているのです。
しかしその一方で、火山活動による被災の可能性も否めません。
有珠山(うすざん/北海道)

例えば、北海道の有珠山は、
これまで度重なる噴火活動が観測されています。
2000年の有珠山の噴火では、地盤の隆起や陥没により、
道路が通行止めになりました。
熱泥流や土砂災害も発生し、橋が流されてしまうなどの被害を受け、
付近の住民には避難勧告も出されました。
熱泥流の被害は洞爺湖(とうやこ)温泉街にも及び、
甚大な被害をもたらしたのです。
復興には、経済的なダメージを少なからず与えたことでしょう。
しかし、有珠山の噴火は比較的予知がしやすく、
また地元では日ごろより防災・避難訓練をしていたため、
人的被害は奇跡的にゼロでした。
火山は噴火すれば被害も与えますが、
温泉をはじめ、恩恵を受けていることも多いのです。
この地域はしっかり住民の安全を守りつつ、火山の恵みを産業に生かし、
火山と共生することができているといえるでしょう。
雲仙・普賢岳(長崎県)
雲仙・普賢岳は、1990年に198年ぶりに噴火しました。
翌年の大火砕流では、死者・行方不明者が43人にも上りました。
噴火活動はその後5年以上も続き、観光客も大幅な減少が続きました。
火山の温泉への影響
火山による温泉への影響は、あらゆる調査・研究が進められているようです。
噴火する際、温泉水にはさまざまな変化が見られます。
まず、泉温が急激に上昇します。
そして湧出量は一時的に減少し、
温泉の成分は、全体的に増加する傾向があります。
また、火山活動により、新しい温泉がつくられるケースもあります。
例えば先ほど解説した北海道の洞爺湖温泉は、
1910年の噴火後に出現した温泉であると考えられているのです。
今回のページでは火山性温泉について解説しました。
火山があるところは噴火の際には被害を受けますが、
その一方で「温泉」という恵みを地球の活動のおかげで得られていることが、
改めてわかったのではないでしょうか。
次のページでは、「非火山性温泉」について解説します。