これまでぬる湯については、
それぞれのレッスンで折に触れて説明してきましたが、
このレッスンで今一度、詳しく解説したいと思います。
というのは、世の中の温泉好きの人たちには本当にぬる湯ファンが多く、
ぬる湯にはそれだけの魅力があるということなのです。
ここではぬる湯の魅力を再確認するとともに、
全国のおすすめのぬる湯も取り上げていきます。

高温泉のリスク
温泉というと、温かい、または熱いお湯にざぶんと浸かって、
ゾクゾクする感じを体感するのが楽しみな人が多いでしょう。
実際、日本人は熱いお湯が好きな人が多いようです。
熱い湯好きは、高齢になるほど顕著だと言えます。
日本人の不感温度が高いことにも関係していますが、
日本の熱い湯は、ヨーロッパ人にとっては、
熱くて入れないということもあるようです。
確かに熱い湯は気持ちが良く、温熱効果もあり、
アトピーの治療にも効くとされますが、
それ以上にリスクが高いことを知っておきましょう。
気温が低い脱衣所と、熱い湯の温度差の激しさもあり、
浴室での死亡事故は、交通事故よりも多いと言われています。
特に若い人よりも中高年層で危険度は高く、
また心臓病や高血圧症の人にも不向きです。
ぬる湯の魅力
その一方、高温泉に比べてぬる湯は、副交感神経を刺激しますので、
リラックスできストレスの軽減にも良いとされています。
最初に湯の中に足を入れた瞬間は、
高温泉のような心地よい刺激を得ることはできません。
むしろ、熱くも冷たくもなく、人によっては少し冷たさを感じることもあり、
気の抜けたような感じがするでしょう。
少々、物足りないかもしれません。
しかし、次第に湯のぬるさに体が慣れていき、
何とも言えない心地よさがやってきます。
熱さも冷たさも感じませんが、
なんとなく手の先、足の先まで、血液がゆっくりと行き渡り、
少しピリピリとした感じがすることもあるかもしれません。
それは、ぬる湯は長湯ができるので、温泉の成分を皮膚から十分に吸収でき、
体がじんわりと温まるからでしょう。

肌にはほとんど何も感じないものの、温泉の浮遊効果も相まって、
頭が空っぽになり、緊張や体に溜まったストレスが、
全て湯の中に溶け出していくような、
究極のリラックス感が味わえるのです。
長湯しているときは何もすることがないので、
目の前に広がる景色をぼうっと眺めたり、
呼吸に意識を向けてみたり、
瞑想してみたりするのも良いでしょう。
他の入浴客と、たわいない会話を楽しんでもいいかもしれません。
日常生活ではなかなか得られない心と体の休息を、
ぬる湯で味わってみましょう。
また夏場の温泉では、
高温泉では熱くて少ししか浸かっていることができません。
暑すぎるときは、入る気分にもならないですよね。
ぬる湯はその点、夏に入る温泉としても最適だと言えます。
ぬる湯でおすすめの温泉
Lesson4-9の放射線のところで取り上げた、
山梨県の増富温泉や、新潟県の栃尾又温泉も、
ぬる湯の温泉でおすすめです。
ここでは、その他のぬる湯の温泉を取り上げます。
川古温泉(群馬県)
山奥にあるこじんまりとした小さな温泉宿「川古温泉 浜屋旅館」は、
江戸時代から伝わる秘湯です。
源泉温度は約40℃、浴槽温度は37〜38℃のぬる湯。
カリウム・ナトリウムー硫酸塩泉の湯が豊富に湧いており、
直接湯船にかけ流されています。
湯の鮮度はとても良く、肌に細かい泡が付着するのが特徴。
内湯と露天風呂があり、行ったり来たりしていると、
時間を忘れてしまいます。
下部温泉(山梨県)
下部温泉は、ケガの治療にとても有効なぬる湯として、
一般的に知られてきました。
湯が湧いている岩盤を、そのまま湯船にした風呂などもあり、
国内でも貴重な足元湧出。
新鮮な源泉を堪能できます。
湯の温度は30℃〜31℃。
泉質はアルカリ性の単純温泉です。
下部温泉は、「信玄の隠し湯」の一つとされ、
実際に信玄の免許状を保管している老舗旅館もあります。
祖谷温泉(いやおんせん/徳島県)

断崖にある一軒家の「ホテル祖谷温泉」。
露天風呂へは、ケーブルカーに乗って絶景を眺めながら移動します。
泉温は39℃ほどの源泉かけ流し。
アルカリ性の単純硫黄温泉は、美肌の湯として知られ、
入浴すると肌がすべすべになります。
とろとろした感触の湯と、肌にまとわりつく泡が、
なんとも心地良いのです。
かなりの秘境にある温泉ですが、ぜひ訪れたい温泉の一つです。
谷地温泉(青森県)
日本三秘湯の1つとされるのが、この谷地温泉です。
開湯400年の歴史があります。
泉温38℃の「下の湯」は、単純硫黄温泉(硫化水素型)で、
足元湧出。
神経痛、関節炎などに効果があります。
「上の湯」という42℃の風呂もあり、
熱い湯とぬるい湯の両方に入れるのも魅力です。
泉質も異なり、上の湯は単純温泉でアトピーなどに効果があります。
ぬる湯の魅力と、ぬる湯でおすすめの温泉を解説しました。
日頃の疲れを取ったり、ストレスを解消したいなら、
ぜひぬる湯の温泉を訪れてみてください。
ゆっくりと浸かれば、体も心も溶け出して、
最高にリラックスできるはずです。
ぬる湯ならではの泡の触感や、
ピリピリする感じも味わってみましょう。
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