Lesson4-9 放射能泉〈特殊成分を含む療養泉〉

放射能泉の特徴と成分

放射能泉とは、温泉水1kg中にラドンを30×10-10 Ci(キュリー、8.25マッヘ)以上
有する温泉のこと
です。

放射能泉は、地中のラジウムが地下水に溶け、
ラドンガスとして温泉に含まれて湧出したもの。

ラジウム泉、ラドン泉とも呼ばれることがあります。

「放射能」という言葉に、日本人はどうしても敏感になってしまいます。

過去には原発の事故も発生してしまい、
ますます敬遠してしまいがちになっている傾向もあります。

しかし、放射能泉に含まれている放射能はごくごく微量。
入浴するだけでは、被爆量を気にする必要はありません。

むしろごく微量の放射能は、
体の諸症状に効果があり、それを療養泉として利用できる
のです。

放射能泉の色は無色透明で、ほとんど匂いはしません。

ラドンガスは、泉温が高いと空気中に飛んでしまいますので、
放射能泉は30℃前後以下の低温泉がほとんど
です。

そのため加温もせず、源泉のまま入浴するのが一般的。

肌に触れる感じは、さらりとしています。

効能

放射能泉の適応症は、

  • 高尿酸症(痛風)
  • 関節リウマチ
  • 強直性脊椎炎 など

とされています。

放射能泉は昔より、「万病に効く」と言われていますが、
浴用と飲用で体内にラドンが吸収されます。

ただし、すぐに体外に排出されますので安心してください。

特に利尿効果が高いため、
上に掲げた痛風のほか、糖尿病、尿路の慢性炎症などにも効果的

鎮静効果もあり、痛みを和らげる作用もあります。

また放射能の刺激によって、体の免疫力を高めてくれることでも
知られています。(ホルミシス効果)

ホルミシスとは、多量に人体に用いられた場合には有害で、
微量であれば有益な作用をもたらす現象のことを言いますが、
放射能泉のホルミシス効果については、現在も研究が進められているようです。

吸入、飲用する際には、
源泉100%かけ流しの新鮮な湯が望ましいです。

飲用の場合は、胃を保護するためにも食後が良いでしょう。

放射能泉の代表的な温泉

  • 増富温泉(山梨県)
  • 栃尾又温泉(新潟県)
  • 村杉温泉(新潟県)
  • 三朝温泉(鳥取県)
  • 有馬温泉(兵庫県)

増富温泉

増富温泉が武田信玄の隠し湯であったことは、
すでにLesson2-4で学んだとおりです。

温度は30℃前後と低めですが、
長湯をしていると体が温まっていくのがわかるでしょう。

放射能泉は吸入法が効果的であることを配慮して、
蒸気吸入室を設けている温泉施設もあります。

栃尾又温泉

栃尾又温泉は、新潟県にある秘湯です。

泉温は約35℃と低温泉。

ぬるい湯で長時間長湯する入浴法を、昔から伝統的に受け継いでいます。

三朝(みささ)温泉

三朝温泉は、世界有数のラジウム含有量であるとして知られています。

放射能泉は一般的に低温泉が多いのは前述の通りですが、
三朝泉は40℃以上あり、とても稀少な高温泉となっています。

有馬温泉

有馬温泉は、「塩化物泉」のところでも取り上げましたが、
「銀泉」と呼ばれる方の温泉は、炭酸泉に放射能泉も併せ持ちます。

両方がブレンドされているため、それぞれの効能が期待できます。


放射能泉について解説しました。

放射能泉と聞いて「ちょっとこわいな」と初めは感じた人も、
今では見方が変わったのではないでしょうか。

「体に良くない」とされる放射能が含まれる放射能泉が、
「万病に効く」とされているのは、興味深いと思いませんか。

補足:含よう素泉

実は「特殊成分による温泉」はもう一種類あり、それは「含よう素泉」です。
温泉水1kg中に、よう化物イオン(I)を10mg以上含有する温泉のことを指します。

これはうがい薬やヨードチンキ(きず薬)の成分が入っているということです。

国内には泉質名がつくほどの温泉は非常に少ないですが、
北海道の豊富温泉は、この泉質になります。

飲用で高コレステロール血症の改善をする働きや、
抗菌作用があるとされています。


ここまでで、泉質とその効能についての学習を終えました。

さまざまな泉質がありましたので、整理して覚えていきましょう。

自分の体質や悩んでいる症状に適応しそうな温泉があれば、
訪れてその効果を実感してみてはいかがでしょうか。

Lesson5では「温泉と地球」について解説をしていきます。