温泉はさまざまな成分が含まれた溶液ですが、
溶液には、浸透圧という圧力があります。
浸透圧とは、濃度が異なる二つの溶液の間で生まれる圧力のことです。

例えば、上の図のように容器の中央を半透膜で区切り、
区切った一方に水(濃度が低い溶液)、
もう一方には食塩水(濃度が濃い溶液)を入れるとします。
すると、水が食塩水の方に移動します。
この移動する現象を「浸透」と言いますが、
このとき、水が食塩水に引き寄せられる力が「浸透圧」になります。
温泉は、浸透圧を決定するその溶存物質の総量により、次のように分類されます。
- 低張性泉(低張泉) 溶存物質の総量8g/kg未満
- 等張性泉(等張泉) 溶存物質の総量8g/kg以上10g/kg未満
- 高張性泉(高張泉) 溶存物質の総量10g/kg以上
人間の体液と同じ浸透圧の溶液を「等張液」と言い、
これと同じぐらいの溶存物質総量の温泉が等張性泉となります。
食塩水で言うと、生理食塩水が等張液となるのでイメージがわきやすいでしょう。
等張性泉よりも濃度が高いのが高張性泉、濃度が低いのが低張性泉となりますが、
つまり、数値が高いほど温泉に含まれる成分が濃く、浸透圧が高いと言うことになります。
※温泉分析書の「試料1Kg中の成分・分量および組成」の中に、
「溶存物質(ガス性のものを除く)」がありますが、
ここで溶存物質の総量を確認することができます。
浸透圧以外の溶液が示す特徴
溶液が示す特徴は、浸透圧以外にもあり、それが「凝固点降下」です。
水よりも溶液の濃度が高い方が、凝固点が下がります。
これが「凝固点降下」です。
この凝固点降下を利用して、次のように定義する考え方もあります。
- 低張性泉(低張泉) 凝固点-0.55℃以上
- 等張性泉(等張泉) 凝固点-0.55℃〜-0.58℃以上
- 高張性泉(高張泉) 凝固点-0.58未満
つまり、高張性泉の方が凝固点が低く、
例えば海の水は高張性泉であるため、凍りにくいと考えるとわかりやすいです。

高張性泉の温泉
高張性泉は、食塩泉に多いのが特徴です。
有馬温泉(天神泉源)
平成21年の溶存物質総量は、44.79g/kgです。
泉質:含鉄ーナトリウムー塩化物泉 高張性中性高温泉
神恵内(かもえない)温泉(北海道/リフレッシュプラザ998)
平成16年の溶存物質総量は、48.13g/kgです。
泉質:ナトリウムー塩化物強塩泉 高張性弱アルカリ性高温泉
これまで3回のページに渡って学んだ
「泉温」「液性」「浸透圧」の三つが温泉の性質を表す指標となります。
温泉分析書の泉質のところに、
- 低張性アルカリ性高温泉
- 低張性酸性高温泉
- 高張性弱酸性高温泉
などと、その温泉の泉質が書かれていますので、確認してみましょう。
なお、療養泉の場合は上記の表記は副泉質名となり、泉質名の横に併記されています。
療養泉ではない温泉の場合は、
上記のような表記(浸透圧ー液性ー泉温)のみが泉質のところに記載されます。