Lesson2-1 温泉の発見

最初に人類が温泉を発見したのはいつ頃でしょうか。

そして、いつ頃から人々は温泉を利用するようになったのでしょうか。

このページでは、温泉の発見について解説します。

縄文時代

日本列島に渡来してきた人類が、いつ頃から温泉を利用し始めたのかは、
現在はまだ正確にはわかっていません。

それは、遺跡や遺物の発見といった、
考古学上の物質的確証や、それにもとづいた研究がなされない限り、
確証を得ることができないからです。

しかしそれでも、日本ではずっと以前より人が温泉を利用してきたと
考えられています。

日本でもっとも古いとされる温泉痕跡が、
1964年に考古学者の藤森栄一によって長野県で発見されています。


硫化質の湯が沸いていたと考えられる跡や、
その周辺から土器片などの遺物が出てきたのです。

もちろんこの遺跡が本当に温泉遺跡であるかは定かではなく、
これに対してはさまざまな意見もあります。

しかし、もしこれが本当に温泉遺跡であるなら、縄文時代前期の頃の
跡地であると考えられます。

つまり、6000年以上前の石器時代の人たちが、
温泉を利用していたと考えられるのです。

奈良時代以降

日本の温泉に関する記録で最古と言われるものは、日本書紀や万葉集などです。

つまり、奈良時代以降のものになります。

有史以降では、各地にさまざまな発見伝があります。

例えば、日本の修行僧である行基(668年〜749年)は、
木津温泉(京都)や蓮台寺温泉(静岡)をはじめ、全国各地で温泉を発見した
という伝説
が伝えられています。

現在でも名湯とされている温泉の多くが、
行基をはじめとした高僧が発見したのだと言い伝えられています。

人間以外の可能性も

露天風呂で猿が温泉に入っている風景を見たことがある人もいるでしょう。

大自然の中で暮らしている動物たちが、
人間と同じように昔から温泉を利用していたことは
容易に想像ができます。

実際、日本の温泉には動物の名前が入った温泉名が数多く存在し、
例えば「鶴の湯」「鹿の湯」「熊の湯」「鷹ノ巣温泉」「鳩ノ湯」などが
挙げられます。

また動物の名前が温泉名に入っていなくても、
動物が最初に発見したと言い伝えられている温泉が他にも数多く存在する
のは、大変興味深いことです。

これらのことから、温泉を最初に発見し利用し始めたのは、
人間ではなく動物だという説があるのもうなずけるのではないでしょうか。

しかし一方で、動物発見伝が多いのは、治癒効果をうたい宣伝するための、
効率的な方法であったとも考えられます。


次のレッスンでは、万葉集などから記録に残る日本の温泉地を紐解いていきます。