九州には全国に名の知れ渡る温泉地が多いですが、
その代表格は何と言ってもやはり別府温泉でしょう。
開湯から長い歴史を誇る温泉地も多く、
また佐賀県や長崎県といった外国とつながりがある温泉地があるのも、
九州ならではの特徴です。
それでは九州の名湯を見ていきましょう。
嬉野温泉(佐賀県)
九州地方屈指の古湯として知られる嬉野温泉。
この温泉地が発展したのは江戸時代、
長崎街道の宿場町となってからです。
当時は、外国人にもっとも知られている温泉だったとか。
湯遊広場の足湯は、日本の西洋医学に貢献したドイツ人シーボルトにちなみ、
「シーボルトのあし湯」と名づけられています。
また公衆浴場「シーボルトの湯」も近年できています。
泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。
美肌の湯として、女性客に人気の温泉地ではありますが、
源泉かけ流しの施設はそんなに多くありません。
武雄温泉(佐賀県)

武雄温泉は、1300年の歴史がある温泉地です。
豊臣秀吉の朝鮮出兵時には兵が湯浴みに訪れました。
鍋島藩主も湯殿を建てましたが、
このときに建てられたのが、大理石造りの浴槽。
当時はシーボルトも入浴したようです。
この風呂は現在も公衆浴場内にあり、貸切風呂として利用が可能。
泉質は単純温泉で美人の湯と呼ばれ、
肌がしっとりとすることで知られています。
武雄温泉の新館と桜門は国重要文化財に指定されていますが、
まるで竜宮城のような雰囲気に圧倒されます。
温泉とともに建築様式や美しい浴槽を、堪能することができます。
小浜温泉(おばまおんせん/長崎県)

小浜温泉は雲仙の麓にあり、
「山の雲仙」に対し「海の小浜」「海の湯」と
呼ばれてきました。
小浜温泉の特徴は、100℃前後の温泉が豊富に湧いていること。
その熱量は日本一です。
泉質は塩化物泉で、湯は熱くとも成分が濃いため皮膚を守ってくれ、
入浴後にも保温効果があります。
橘湾の眺めを見られる施設も多いので、
露天風呂から青い海や夕暮れ時には海に沈む夕日を眺めてみるのも
楽しみ方の一つです。
雲仙温泉(長崎県)

雲仙温泉は、雲仙岳の標高700メートルのところにあります。
雲仙地獄の湯気を見るといかにも熱そうですが、
実は九州の軽井沢と呼ばれるほど夏は涼しく、
外国人の避暑地として名を馳せ、
国際的温泉保養地として整備が進められました。
泉質は酸性硫黄泉で、湯は乳白色に濁り、
周辺にはいかにも温泉地らしい硫黄臭が漂います。
別府温泉郷(大分県)

源泉数と湧出量日本一を誇る別府温泉。
聞いたことがない人はいないというぐらい、
全国的にもっとも有名な温泉地の一つです。
亀川、別府、浜脇、観海寺、堀田、鉄輪(かんなわ)、柴石、明礬を
別府八湯と呼び、それぞれ個性的な温泉が湧いています。
「別府八湯温泉道」という
別府市内にある88カ所の温泉施設を巡ってスタンプをもらうという企画があり、
これに参加すると別府温泉を隅々まで味わい尽くすことができます。
繁華街にある市営温泉「竹瓦温泉(たけがわらおんせん)」は、
別府のシンボルであり、日本の代表的な共同湯でもありますので、
ぜひ訪れてみましょう。
ここでは温泉のほか、砂蒸しも体験できます。
別府は共同湯がたくさんありますので、
路地裏散策をしていろいろな共同湯に入ってみるのがおすすめ。
別府は温泉だけでなく、海の幸やお酒もおいしいので、
温泉を巡りつつ、食文化も満喫しましょう。
由布院(湯布院)温泉(大分県)

標高1583メートルの由布岳の山麓の盆地に湧く由布院温泉。
上で取り上げた別府温泉も同じ大分県内ですが、その雰囲気は全く異なります。
由布院の魅力は、温泉リゾート的なものではなく、
自然環境に調和したその景観が保たれていることです。
リゾートに見られるような大型のホテルはなく、
隠れ家的な閑静な温泉宿が多いのが特徴。
それは作家の田辺聖子がかつて、
”ただの田舎、ひたすら田舎、野草の田舎”
と書いたことで知られるほど。
泉質はやわらかな単純温泉で、女性にも人気です。
黒川温泉(熊本県)

熊本県の阿蘇の奥地に、ひっそりとある温泉の里。
それが黒川温泉です。
黒川温泉は各温泉宿が自慢の露天風呂を作り、
看板を撤去したり植樹をおこなうなど、
温泉地としての景観を統一するために地域が一丸となって取り組んできました。
その甲斐あって、黒川温泉は特に女性客を虜にし、
これまで安定した人気温泉として、その地位を確立してきました。
温泉街全体が、一つの旅館のような一体感があります。
泉質は単純温泉、塩化物泉など複数。
浴衣姿で温泉街を歩き、露天風呂巡りを楽しんでみましょう。
山鹿温泉(やまがおんせん/熊本県)
平安時代の「和名抄」に温泉郷として記されている山鹿温泉。
「山鹿千軒たらいなし」とうたわれるほど豊富な湯量があり、
温泉施設は源泉かけ流しが基本です。
泉質はアルカリ性単純温泉が主で、
それにラドン含有の単純弱放射能泉も加わります。
藩政時代の庶民向け共同浴場「さくら湯」は昭和に取り壊されましたが、
近年、江戸期の伝統建築様式で見事に甦りました。
特に大浴場は吹き抜けがあり、迫力があります。
外観も館内も重厚感のある造りになっており、
宿場町として栄えた歴史的な雰囲気を体感することができます。
杖立温泉(つえたておんせん/熊本県)
杖立温泉は、杖立川の両岸に温泉街が広がります。
100℃近い源泉が湧いており、温泉街のあちこちから
湯けむりが昇るのが見えるでしょう。
熱泉の蒸気を利用して、蒸し風呂を備えている宿が多く、
新陳代謝を促してデトックス効果が期待できます。
蒸気は調理にも利用され、
野菜や卵を蒸す「むし場」もあります。
「杖立プリン」も人気。